アイドル戦国時代とか言うけれど

戦国時代というほど派手なのかという疑問はあると思いますが、実際の戦国時代でも武田信玄上杉謙信のような戦国大名のイメージ*1に一致する大名は、多めに数えれば100以上あった大名家のうち有名どころの10程度でしかなく、さらには有名どころですら全国統一という意味での天下取り*2を目指したのは織田信長より前にはなかったのであって、むしろ戦国時代なんてそんなものだという歴史ヲタの見解を示しておきます。それから「幕府や朝廷の力は衰えていたが権威としては有効で諸大名はそれをよく利用した」というのもアイドル史とのアナロジーで重要ですね。


それはさておき、アイドルの戦国で気になるのがこれです。


総勢59人!「MJ」収録に人気女性アイドル7組が集結 - 音楽ナタリー

NHK総合MUSIC JAPAN」の公開収録が、本日5月17日に東京・NHKホールにて開催。このうち、5月30日(日)放送分の収録で、現在話題の女性アイドルグループたちが一堂に会した。


今回の収録に参加したのは、アイドリング!!!AKB48スマイレージ東京女子流、バニラビーンズ、モーニング娘。ももいろクローバーの計7組。同番組にこれだけの女性アイドルグループが一度に出演するのはこれが初めてのことで、公開収録への応募総数は6万通に達したという。


戦国時代でも普通の大名は自国を守るのが第一であったように、芸能界でも「天下を取るぞ」と言ってはいても実際には目の前の目標との戦いだと思います。その点AKB48だけが信長的な天下取りを目指しているようで、その実は信長と違って全く革新的ではないと言えます。


ここでハロプロ側の戦略を考えますと、「AKBには近づくな」という以前からの考えをここでも主張したいと思います。それは目指しているものが違うという意地の問題が第一なのですが、実利を考えても「AKB48とその他」と見られかねない舞台にこちらから乗るのは得るものが少ないと見ます*3AKBアイドリング!!!も後から思えばアイドリング!!!が踏み台にされた印象があります。


これは「本人の内面の誇りが守られれば問題ない」とは言い切れないので、そのあたりハロプロの年上メンバー切り離しも「近づいてしまった」という点でよくなかったと思います。*4ハロプロの多様なユニット・メンバーはリスクヘッジのためであってシナジーのためではなかったのかもと思いますが、それはアップフロント上層部に「いざという時は私が全責任を背負う」という心意気がなかったということで、そのために例えば後藤真希藤本美貴は一時的に冷や飯を食わされたのだと考えます。


スマイレージ自身が「アイドル戦国時代」と言っているのが気になりますが、アウェーに新勢力を送り込みつつ*5それを緩衝地帯としてモーニング娘。は守るというのが当面の戦略になるでしょうか。そして今はこの番組を含めて自身のパフォーマンスに専念し、遠からず起こる敵の自滅を待って攻勢をかける*6というところだと思います。

*1:そもそも普通の人たちは戦国時代にそんな確固たるイメージはないと思いますが。

*2:戦国時代の前半では、明らかに支配力が落ちていた中でも幕府の実権を握ることが「天下に号令」と呼ばれていたようです。

*3:モーニング娘。OGがAKBメンバーと仕事をするのはお互いにピンですから問題ありません。

*4:年上メンバーだけでも守るという次善の策としては支持できます。

*5:AKB48の初期にTHEポッシボーが使われたように

*6:それも下手をすると厄介なファンを抱えることになるので要注意です。