Berryz工房と「色物」

アイドルにおいてアイドル性というかいわゆるロリヲタ好みの資質、そして歌とダンスの技量が2つの軸としてあると思います。そして第3の軸として「色物」という概念を考えます。これは突き詰めると深く遠大なものになりうるのですが、さしあたって「正統派とは違う何か」とお考えください*1

この「色物」というのは「個性(派)」と呼ばれることが多いのですが、ハロプロにおいて個性の発露は大事なこととされる一方で、正統派たり得なかった者への慰めと見られることも多く、とりわけエルダークラブというカテゴリーが存在した時期(2006年1月〜09年3月)にはそちらに属する年長メンバーにこの要素がより強くあるものと見なされました。そんな中で、まだ幼く新鮮さを売りにしていた初期のBerryz工房とそのファンの視点からは「早く人間になりたい*2」というムードがあった一方で、年長世代を「おばさん*3」と見る風潮もありました。

しかし、おそらくはエルダークラブハロプロを離脱したあたりから、いわば「追い出した」側であったBerryz工房が(当時としては)意外にも色物らしくなっていきました。その原因としてはキャリアを重ねて新鮮さが売りにならなくなり、一方でハロプロ内の主流派争いでは分が悪いと見えた、この頃の目標としてメロン記念日が挙げられることがあったのですが、ややもするとモーニング娘。が「メロン記念日化」すなわち主流からの転落の可能性もあったのが当人の奮闘あってそうはならなかったというところでしょうか。またキャリアとともに技術を高めたゆえに色物らしさを発揮しても眉を顰められることがなくなったこともあり、つまり冒頭の2軸のうち技術の充実は「色物イズム」と相反するものではないことがうかがえます。一方でこの時期に℃-uteが色物らしさを持つメンバーが脱退したこともあって「ダンスの求道者」の色を強めたのと好対照でした。こうして見ると、難しい時期もありましたが前期と後期で大きく異なる「Berryz工房らしさ」をともに体現してきた菅谷梨沙子の凄みを感じます。

もっともハロプロを離れて広くアイドル界を見まわしてみると、AKBが正統派と見られたゆえに色物が求められた時期もあったのですが、いつしか色物サイドのアイドルが溢れてしまい、またその確かな技術ゆえにハロプロには正統派としての役割が期待されるようになりました。そのせいなのか、あるいはメンバーにとってグループを離れたところに目標ができたためなのか*4、とにかく誠に残念なことに、Berryz工房はその活動を終えることとなりました。「鈴木愛理宮本佳林がいれば問題ないから(震え声)」の感もありますが、やがてはかつてBerryz工房自身が示したように「個性の穴」も埋まることでしょう。

*1:元々は寄席における落語以外の出し物のことなのだそうです。

*2:妖怪扱いかよと言われそうですが、デビュー時点で全員小学生でいかにも幼すぎたBerryz工房は「怪しき者」と見られてきたのも確かです。

*3:流石にベリメンはそんな失礼なことは言わなかったと思います。

*4:まだ詳細不明ですが、熊井友理奈にはその可能性が高いと思っています。