ASAYAN復活の可能性、または未完成なタレントを売り出すことについて

ASAYANが現在まで健在であったとすれば、モーニング娘。その他がどのような展開を見せていたかを夢想したくなることがあります。「歴史にもしはない」とは言いますが、「もし」を考えるのは楽しいものです。
しかし、
http://d.hatena.ne.jp/helloblog/20070309/p2
のように本気で復活を願う(そのものではないとしても)のは難しいのではないかと思います。


まず、年月を隔てた今となっては「ハロプロヲタ=ASAYANヲタ」ではないと考えられます。ベストな道ではなかったとしても、ASAYAN的煽りに頼ることなく何年もやってきたことにファンの誇りもあるでしょうし、慣れていない人にとっては「愛するハロプロをかき乱される」ことに反発もあるかもしれません。それをひ弱だとか言われるのかもしれませんが、逆の立場からするとメンバー自身より仕掛けの方に注目するような人への違和感がありうるわけです。


また、その手の仕掛けというのは一種のドーピングのように思われる可能性があります。そのままでは芸能としての水準が低くて売り物にできないので演出で底上げする、いわば「生では食えないので味付けする」*1と見られかねないのです。(現状の)モーニング娘。なら、実際に見ていただければそんなことはないことがわかるはずですが、その下の世代となると心配な人もいますし、なにより悪口が好きな人というのはえてして対象のことを知らぬままにこきおろすものです。


これに関連して「芸能界の一線に立つ人たちは大衆から圧倒的にかけ離れた存在であるべきだ」という主張があります。*2そう本気で思っている人はあまり多くはないはずですが、原理として単純明快であるためにインターネット上の議論では目立つことになります。その「圧倒的なもの」とは、本来はタレントとしての技能であるわけですが、どのような技能を求めるかでしばしば争いが見られますし、場合によっては技量の問題が雰囲気の問題にすりかえられることもあります。*3ハロプロはこれに巻き込まれるとどうしても分が悪いと思われます。


もう1つの問題が、近年の社会的風潮として即戦力志向があることです。人心に余裕がなくなってきて、未熟なスター候補を見守っていくということも成り立ちにくくなっているように感じられます。これがもっとひどくなるか、それとも弱まるかは今後の経済動向次第になるでしょう。


いずれにせよ、UFA単独ではどうにもならない壁があるように思います。この状況を打破するのに「世間の風向きが変わるのを待つ」というのでは嫌だとすれば、「下手な鉄砲」ではありませんが今までのやり方にとらわれない新たな試みを仕掛けていくのがいいでしょう。たかが(BSの)1番組でどうにかなるとは思えません。

*1:実際、生で食べられる食材はそう多くはないわけですが、日本料理には素材そのままという思想が強く見られます。

*2:私の主張ではないことに注意してください。

*3:誰とは言いませんが「なんちゃって実力派」な人、いますよね。