26時間テレビの矢口真里とモーニング娘。

「先人の作った道を、後に続く者が全速力で駆け抜ける」という言い回しがあります。長い期間を経て、やがて新しい道が作られます。これがパラダイムシフトです。しかし、地元の人はバイパス沿いのショッピングセンターに行くとしても、遠くから観光客が来るのは旧街道沿いの古い町並みなのであって、先人の偉大さを乗り越えるのは難しいようです。


モーニング娘。にとってライバルというと、芸能史上に異例の存在であることから、過去のモーニング娘。をおいて他に無いと思います。過去の成功を語り、その上で「現在のメンバーも負けていない」と続けることでモーニング娘。をアピールすることは大いに有効なはずですが、問題はバランスの難しさであり、ストーリーの中心にならなかった人の側からしばしば不公平感が漏れてきます。


先日の26時間テレビでは、矢口真里が三輪車12時間耐久レースに挑戦し、その応援にモーニング娘。が来て歌ったわけですが、ここでも少なからず不満はあったようです。
http://d.hatena.ne.jp/men-s6/20090726#1248619067
http://d.hatena.ne.jp/mako-kon/20090729/1248801085


4年前にモーニング娘。を脱退してから、バラエティ番組を中心に活躍するものの本来の姿である歌手としての活動はなかなかできないでいて、ヘキサゴンのおかげで再び歌を出すことができた*1、そして新たな挑戦にその後のモーニング娘。が付くことで一つの物語が完成したと考えられます。そうであれば、番組内で矢口真里の4年間を振り返るVTRを流して、さらにはモーニング娘。のメンバーが思い出を語るということがあればもっとよかったと思います。そしてまずかったのは、新旧メンバー一体で歌ったのが「LOVEマシーン」であったことで、それは矢口”謹慎中”にも紅白歌合戦で歌われたわけで物語の締めには不向きでした。これが矢口脱退後の曲、例えば「歩いてる」であれば、その後のモーニング娘。を象徴する曲でもあるし、番組内容にも合致するので随分印象はよかったことでしょう。


以上のような物語を語ることは、今となっては問題なさそうなものですが、大人の事情というよりは一部の人の子供じみたつまらない意地のせいなのか、いまだに難しいことのようです。藤本美貴の場合は、旦那さんの庄司智春の所属事務所である吉本興業の懐の深さもあって、比較的よくエピソードが語られるのに対して、大きな「一方の当事者」が存在しない(あるいは表に出ない)場合はやはり腫れ物化しやすいのでしょうか。

*1:「ヘキサゴンのおかげ」といっても、音楽とお笑いは長年ともにあったのであり、むしろ本流とも言えるくらいであって決して恥じることはないでしょう。